「ここのVBA講座って、資格試験対策になりますか？」

「あの、小川さん。ここの講座って、資格試験対策になりますか？」

今日の夕方、ウチのインターン生（日大の女子大生。3年生）から質問を受けた。

「へー。資格試験か。気になるの？どうして？」

「だって、就職活動するときに、『資格があります』って言えると、いいじゃないですか」

よくある話の展開だった。あまり稼いでなさそうな、派遣社員をやっている人なんかにも、よく聞かれる。

「ふーん、そう思うんだ。。でもさ実力と実績があれば、いいんじゃない？『○○な職場で、マクロを書いて△△な改善をしました！』って、エントリーシートなり職務経歴書なりで説明できれば。そうしたら、資格なんていらないし。」

「うーん、でも」

と、浮かない顔の彼女。

そこで、こんな表を描いた（上の、青い字のもの）

「ここに、Aさんと、Bさんがいます。Aさんは、資格はあるけど実力はありません。Bさんは、資格はないけど、実力はあります。君なら、どっちを採用したい？」

「Bさんです。」

と、神妙な顔で答える彼女。

「そうだよね。でさ..。Aさんのほうを採用しちゃうのって、どういう人だと思う？」

「え、え～。。。そうですね。。。」

と言って、彼女は、いくつか、そういう採用者の特徴として思いつくことを挙げた。（赤い字）

○採用した相手にあまり期待してない
○まったく職場でマクロを使おうと考えていない
○イチから育てていこうと思っていて、今のスキルを気にしていない

「そうだよね。」

と言って、あと、僕がもう一つ追加した。

「そもそも、資格があるかないかでしか、マクロについての能力を評価できない人。」

「あー、そうか」

と、彼女。

僕は、続けた。

「じゃ、ここで、質問。そんな人の下で働きたい？」

「イヤです。」

「そうだよね。」

と言って、僕は、続けた。

「なまじ、資格なんか取っちゃうと、そういう人を引き寄せちゃうんだ。」

「あー」

と、彼女。

僕は、続けた。

「ちょうど、『誠実で自分のことだけを愛してくれそうな男』とつきあいたいのに、浮気性でチャラチャラした男にばっかり色目を使っているようなものさ」

彼女は、なんとか理解できたようだった。

実際、こういう質問を、よく受ける。

僕は、この手の質問を受けると、こういう話の流れで説明することにしている。

まあ、だいたいの場合、分かってくれる。（これで分からない人は、どのみちもう助からないと思う。。）

参考までに、自転車の組み立てに例えると、巷に氾濫している「エクセルマクロ系資格」がやっているのは、「部品カタログの70%を暗記したら合格」とか、そんな感じのテスト。
部品のカタログの中身を頭に入れたって、自転車を組み立てることは不可能だ。

必要なのは、自転車を組み立てるためのノウハウ。
どの部品をどこに配置し、どうネジを締めて、ブレーキの調整をするにはどうしたらいいのかとか、そういうことを抑え、必要に応じて自転車を作れる能力だ。
それがある人にとっては、「部品のカタログの中身を頭に入れること」なんて、なんの興味もない。
例えば、「もっと軽くて幅のあるペダルが欲しい」と思ったら、そのときはじめてカタログを見て、部品を取り寄せればよいだけのことだ。

そして、「資格だけ持っています」という人に対抗したかったら、「○○な職場で、マクロを書いて△△な改善と、□□な改善と、××な改善を、1ヶ月でしました！」とか、エントリーシートなり職務経歴書なりで説明できればいいのである。

それでもどうしても心配なら、それから、オマケくらいのつもりで受験してもいいとは思う。
試験自体はたいして難しくもないので、そこそこマクロを書けるようになってから勉強すれば、まあ落ちることはないだろうと思う。
でも、その前に実力をつけるほうが先だ。

彼女曰く、彼女の近くに、資格をいろいろ取りにいっている友人がいて、それを見ていてちょっと焦っている、とのこと。
就職活動のことが心配で、「どこでもいいから、採用してくれないかな～」と思っているとのこと。

「オトコなら誰でもいい」とか言っているのと、近い状態ですな ヾ(´ー｀)ﾉ

こういう時、安い女になりさがって安易な就職をしてしまうのか、自分をしっかり持って、自分にふさわしい仕事を探すのかは、けっこう大事だと思う。