MOSとかVBAエキスパートとかの、パソコン系「資格」って、どうよ?

ご質問をいただきました。

初めまして、突然のメール失礼致します。
いつもメルマガを拝読しております。
転職のため、ExcelのVBA資格(初級)を取ろうと思っているのですが最初の基礎を理解するのにオススメの動画を教えて頂けますでしょうか?
また、VBA初心者にオススメの勉強法があれば教えて頂けないでしょうか?
よろしくお願い致します。

とのこと。
どうして、「ExcelのVBA資格(初級)を取ろうと思っているのですか?」とお聞きしたところ

前職まで一般事務をしていたのですが、次はデータ事務(OA事務)に転職したいと考えました。
しかし、実務経験がないため、まず資格を取り履歴書に書けるようにしたいと思ったためです。

とのことでした。
ということで、パソコン系の資格試験について論じます。
「エクセルVBAエキスパート」でも「MOS」でも何でも、パソコン系の「資格」全般に言える話です。
あと、これから書くことは、一般論です。 「この方向けの回答」ではありません。
まずは、これから僕が言いたいことを要約します。以下のとおりです。


「エクセルVBAエキスパート」や「MOS」といったパソコン系の「資格」なるものがありますが、これらは、「国家資格」ではなく、「民間資格」です。
「国家資格」ではないので、独占業務ではありません
ですので、それらの「民間資格」を有していなくても、そのことは、あなたが実力を発揮するための障害にはなりません。
「民間資格を有しているか?」よりも、「実力があること」が重要です。

その一方、「民間資格」の対策コースで勉強しても、「実力」はつきません。
履歴書の「資格」欄に民間資格を記入するより、職務経歴書にこれまでの業務改善実績を書いたほうがよほど効果があります。
むしろ、「民間資格」をアピールすることで、転職活動で不利益をこうむることすらあります。
僕の提案は、「民間資格」取得のための努力をやめ、そのエネルギーを、「実力」をつけるための努力に向けることです。
そして、「実力」をつけ、今の職場ででも、これまでの経歴で入り込める職場ででも、まずは、業務改善実績を作ることです。
そして、その実績と自信を胸に、転職活動に邁進してほしいとおもいます。


これから、上述のまとめにそってお話していきます。

「エクセルVBAエキスパート」や「MOS」といったパソコン系の「資格」なるものがありますが、これらは、「国家資格」ではなく、「民間資格」です。
「国家資格」ではないので、独占業務ではありません。
ですので、それらの「民間資格」を有していなくても、そのことは、あなたが実力を発揮するための障害にはなりません。

「国家資格」というのは、「税理士」とか「医師」とかの資格ですね。
こういう仕事は、国家試験に受かった人でないとやってはいけないことなっています。無資格の人がやると捕まります。

一方、「エクセルVBAエキスパート」とか「MOS」とかの「民間資格」は、あなたが持っていなくても支障ありません。
「お、これ、マクロで片付きそうだぞ!」という仕事があったら、ガンガンマクロを書いて業務改善すればよいです。
そこそこマクロを書けるようになったら、「3日かかっていた仕事が3分で終わるようになった」とか、普通ですから。
たとえば「毎月初、3日かけていた仕事があった。これが3分で終わるようなった」ということであれぱ、
3日x12ヶ月=年間36日分の業務改善効果
です。
「36日分」というと、ざっと、2ヶ月分の仕事がなくなったということです。
年収360万円のスタッフさんなら、お給料にして60万円分。
会社側で負担する諸経費を考えたら、会社は、実際には、あなたに払っているお給料の1.5-2.0倍の負担をしています。
なので、この仕事で得られる業務改善効果は、90-120万円分ということです。
では、そういうことを軽くやってのけられるだけの実力をつけるには?というと。

「民間資格を有しているか?」よりも、「実力があること」が重要です。
その一方、「民間資格」の対策コースで勉強しても、「実力」はつきません。

ということです。
残念ながら、実は、「民間資格」の対策コースで勉強しても、「実力」はつきません。

実際、ウチの講座の受講生には、「やっとマクロをガンガン仕事で使えるようになりました。実は、『ナントカ民間資格』というのを取ったのだけど、仕事で活用できてないので困っていたんです」といったことをおっしゃる方がたくさんいます。
理由は簡単で...。
「実力があるかどうか?」は、通常の「民間資格」の試験では測れないからです。

こういう「民間資格」の試験て、一例を挙げると、
パソコン画面に選択問題が出てきてピコピコ、とボタンを押していくと、「ハイ、何点。あなたは、まあまあいろいろ知っているほうですね!合格です!」てでてくる感じです。

でも、僕がいつも言っているとおり、「マクロで業務改善をできるだけの実力が本当にあるか?」ということは、「知識」だけで測れることではないです。
ウチの講座で言えば、「DPR」をしっかり理解してエクセルを触っているか?とか。
全体の構想を練る力がしっかりあるか?とか。
マクロを書くときに、「ハナコのステップ」に従った作業を忠実に行っているか?とか。
書いたマクロのテストをするときに、○○や××や△△をしっかり行っているか?とかです。
(↑「○○や××や△△」て書いたのは、もったいぶっているのではなくて、文字に起こすのが面倒なだけです。さっきも書いたとおり、「知識」じゃないんで、そういうことは簡単に文字列で表現できないのです)

ということで、肝心なのは「知識」ではないです。
むしろ、知識なんて、実力を構成する要素のうちの、ほんの一部。しかも、知識自体はそんなに必要ありません。最低限の道具をしっかりつかいこなせるようになれば、案外、ガンガン業務改善できるようになれます。

  • 民間資格の対策講座: 知識つめこみ
  • 実力重視の講座: 知識は控えめ、知識以外のノウハウ重視

ということです。
あと、マクロの勉強のスタートが最初からウチの講座だったという人は、民間資格に関心を持ちません。
何故かというと...。
「年収360万円のスタッフさんなら、お給料にして60万円分」みたいな成果をすでに職場でガンガン出しまくっているんで、「民間資格」なんかなくても「あいつ、スゲー!」て、社内の人に十分に認知されているからです。
転職活動も簡単です。
そういう業務改善の成果を、「職務経歴書」にガシガシ書くだけですから。

○×年×月
△△を××にするマクロを作成。
開発にかかった日数: このくらい。
得られた成果: ○人で○日かけていた仕事がゼロに。
費用換算で言うと xxx,xxx円

○×年×月
△△を××にするマクロを作成。
開発にかかった日数: このくらい。
得られた成果: ○人で○日かけていた仕事がゼロに。
費用換算で言うと xxx,xxx円

○×年×月
△△を××にするマクロを作成。
開発にかかった日数: このくらい。
得られた成果: ○人で○日かけていた仕事がゼロに。
費用換算で言うと xxx,xxx円

○×年×月
△△を××にするマクロを作成。
開発にかかった日数: このくらい。
得られた成果: ○人で○日かけていた仕事がゼロに。
費用換算で言うと xxx,xxx円

○×年×月
△△を××にするマクロを作成。
開発にかかった日数: このくらい。
得られた成果: ○人で○日かけていた仕事がゼロに。
費用換算で言うと xxx,xxx円
...

と、実績を淡々と羅列するだけです。
それだけで、絶対に面接まで進めます。異業種、未経験職種でも、面接まで進めますよ。
なんで、今さら、「民間資格」とか、必要ないんです。
(というか、後述しますが、あると、むしろジャマ (-_-; )

もっとも、ウチの受講生が、それだけ実力があっても「民間資格」を必要とする場合もあります。
それは、公務員の方とかで、「謎の内規があって、それを満たすためには『民間資格』を取らなくてはならない」という場合です。
そういう場合は仕方ないですね。民間資格、取得してください。
でも、ウチの講座の受講生さんは、たいてい、さくっと合格されます。もともと実力があるので、試験に出る内容は、たいてい、すでに、自分ごととして体験済の、知っていることばかりだからです。
「この機能、何に使うんだよ?!」とツッコミを入れたくなるような内容もありつつも、「知らないこともあったので、よい勉強になった」というのが、たいていの方の口から出る感想です。
実力がない人にとっての資格試験: 実力の代替品を手に入れるため
実力がある人にとっての資格試験: 知識の強化のため
ということです。

ということで、
履歴書の「資格」欄に民間資格を記入するより、職務経歴書にこれまでの業務改善実績を書いたほうがよほど効果があります。
という点については、ご理解いただけますでしょうか。

履歴書に「民間資格を持っています」と書くだけの人、
「あー、実力がないから、その代替品を苦し紛れに出してきたなー」と思われる。

職務経歴書に「実績こんなにあります」と書かれている人、
「コイツ、いてくれたら、絶対に役に立つ!」と思われる。

ということです。
となると、自然に気づくことですが、
むしろ、「民間資格」をアピールすることで、転職活動で不利益をこうむることすらあります。

「民間資格をアピールする」って、要は、
- 「私は、実力はありません」と自ら言っているようなもの
- 「私は、『実力をつけるための勉強』と思ってトンチンカンな努力をしてしまう痛い人です」と自ら言っているようなもの

ということです。
「転職活動で不利益をこうむることすらある」というのは、そういう事情からです。
「民間試験」の真実をよく理解している優秀な採用担当者には、「痛いヤツ」と思われる。
優秀な人事担当者は、そんな「痛いやつ」は、採用しません。派遣なら、顔合わせで合った上司候補が優秀なら採用しません。
もちろん、僕も、採用担当者だったとしたら、そんな人絶対に採用しません。
逆に、「へー、そんな『民間資格』を持っているなら、ぜひ採用します!」と言ってくれる人事担当なり派遣先になるかもしれない職場の上司候補がいるとしたら、そういうのは、どういう人か。

断言しますが、その採用担当者は、「民間資格」の簡単なからくりも分からない、「イタい人」です。
採用される側にもイタい人はいる。
採用する側にもイタい人はいる。
「民間資格」に引っぱられる応募者は、「イタい応募者」
「民間資格」に引っぱられる採用担当者は、「イタい採用担当者」
ということです。
そんな人が上司だったら、大変ですよ。優秀とは言い難い人ということですから。
「優秀とは言い難い上司」ということは、その職場でよけいなストレスを溜め込む可能性が高いです。
僕なら、そんな職場はゴメンです。
しかも、その職場で仕事をするのは、「資格はあるけど実際にはマクロでの業務改善はできない」というあなたです。
大変ですね...。先が思いやられます。

「民間資格」をアピールすることにより起きること
- 優秀な採用担当者からは「イタいヤツ」と思われ敬遠される
- 優秀とは言い難い採用担当者をひきつけてしまう
- あなた自身も、採用された後、期待されるだけの仕事をできない

ということです。
もっとも、ここまで読んでも「民間資格」に踊らされるような人であれば、「優秀とは言い難い採用担当者」というのもお似合いかもしれませんが...。

参考までに、僕が仮に「民間資格」を資格を持っていたとしたら、どうするか。
まず、職務経歴書には、自分の実績をしっかり書きます。そのうえで、履歴書にはその資格のことは書きません。
面接で「資格とか持っているんですか?」とか聞かれたら、正直に答えます。
むしろ、そのときに、採用担当者がその質問によって何を聞こうとしていたのか?「民間資格」をどのように捉えいる人なのだろう?ということを見極めにかかると思います。
職務経歴書にガンガン実績を出したと書かれているにも関わらず「資格」の有無を採用基準にしようとしている雰囲気だったら、「ああ、こりゃだめだ」と思って、こちらからお断りですね。
自分の実力に見合った扱いをしてくれそうな別の会社の選考を進めます。
前々回のメールでも書いたとおりです。
就職試験というのは、実際には、「試験」でも何でもなく、採用する側とされる側の「お見合い」にしかすぎないのですから。

ということで、結論。
僕の提案は、「民間資格」取得のための努力をやめ、そのエネルギーを、「実力」をつけるための努力に向けることです。
「資格」で採用担当者の目をごまかそうとかしないこと。
そういう試みしたとしても、その意識レベルなりの職場なり仕事なりしか得られません。
そんなごまかしの策を講ずるより、「肚くくって、実力をつけましょう」ということです。

そして、「実力」をつけ、今の職場ででも、これまでの経歴で入り込める職場ででも、まずは、業務改善実績を作ることです。
そして、その実績と自信を胸に、転職活動に邁進してほしいとおもいます。

まずは、今いる職場で、しっかり実績を作りましょう。
今は無職ならば、とにかくどこにでも潜り込んで、そこで実績を作りましょう。
たとえば、今回相談をいただいた方も、

前職まで一般事務をしていたのですが、次はデータ事務(OA事務)に転職したいと考えました。
しかし、実務経験がないため、まず資格を取り履歴書に書けるようにしたいと思ったためです。

ということなので、とりあえず、一般事務でどこかの会社に入る。
そこで、ガシガシと業務改善をする。
そうして、実力と自信をつけて、堂々と転職活動をしてもらえれば、と思います。
あと、あと、最後に...。
費用のことにも触れておきますね。

【例1】
民間資格の代表格「Excel VBA スタンダード」
受験料: 14,580円 (もちろん、その前に、対策講座にかかる受講料がありますけど。あと、落ちたらまた受験料を払って再受験です)

【例2】
ウチのエクセルマクロ講座 「エクセルマクロ基礎編」
受講料: 19,800円 (実務についての相談もできるサポートつき)

ガラパゴスのエクセルマクロ系有料講座のうち、最初に受けてもらいたいもの。
エントリーモデルの講座ですが、基礎編だけでも仕事で結果をしっかり出すことができるようになりますよ。

公開日時: 2023/07/06 13:30